脳卒中疑いに対するCTスキャンは、フィンランド国内では年間18万件実施され、その実施数が年々増加する一方、読影を担当する放射線科医の減少が課題となっている。ITサービス企業のCGIは、ヘルシンキ大学病院と、画像機器大手のプランメカとの協力により、「頭部CTスキャンに基づくくも膜下出血識別AI」を開発している。
Neurologyに発表された同AIに関する研究成果によると、ヘルシンキ大学病院の入院患者における頭部CTを、畳み込みニューラルネットワークの一種である「U-net」の学習に用いている。さらに、海外2カ国で収集された外部データセットと、国内5ヶ所の医療機関における実臨床環境で撮影された頭部CTデータセットにおいてアルゴリズムの性能検証を行った。その結果、外部データセットでは137例中136例のくも膜下出血を正しく識別し(感度99.3%・特異度63.2%)、実臨床環境のデータセットでは8例のくも膜下出血を全て正しく識別していた(感度100%・特異度75.3%)。
本プロジェクトの基盤プラットフォームはMicrosoft Azure上に構築されている。CGIのフィンランド事業部代表であるLeena-Mari Lähteenmaa氏は「このソリューションは特定の病院が管理する患者データやシステムからは独立しており、世界中の病院に提供できる可能性がある」と語っている。
参照論文:
関連記事: