AI創薬に取り組むInsilico Medicine はこのほど、独自のTransformerモデルを用いた臨床試験予測ツール「inClinico」を用いて、フェーズⅡからフェーズⅢの臨床試験の成功結果を高い精度で予測できることを実証した。この研究はClinical Pharmacology and Therapeuticsに掲載されている。
研究論文には、フェーズⅡ臨床試験の成功確率を予測するために訓練されたAIエンジンの検証として、レトロスペクティブ検証、準プロスペクティブ検証、プロスペクティブ検証の3種が含まれている。inClinicoは、生成AIとマルチモーダルデータ(テキスト、オミックス、臨床試験デザイン、低分子の特性を含む)を活用する様々なエンジンを組み合わせ、過去7年間に行われた55,600以上のユニークなフェーズⅡ臨床試験でトレーニングされた。モデルは、プロスペクティブ検証セットにおいて、実臨床試験の結果について79%の精度で予測できることを実証している。
医薬品開発の約90%は臨床試験段階で失敗するとされる。その理由は、有効性を示せないこと、安全性への懸念、疾患やデータの複雑さなどであり、その結果として多額の資金と長期に及び投じた労力が失われる。研究者らは、ツールによって成功可能性に基づいた意思決定支援が可能であることを強調している。
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