UNICEF(国連児童基金)によると、毎年妊娠28週以降の胎児約190万人が死亡している。胎児および乳児の高い死亡率は、ブラジルにおいても大きな社会的課題であり、その背景には多様な要因が存在している。ブラジルの研究チームは、社会人口統計学的属性と母体の健康状態をもとに、妊娠中の胎児死亡を予測する機械学習モデルを構築し、その成果をBMC Pregnancy and Childbirthに公表した。
9月1日に発表された論文によると、ブラジルのペルナンブコ州が運営する、231,505名のデータと71の属性を含むデータセットを用いて、決定木、ランダムフォレスト、Adaptive Boosting、XGBoostの4種類の機械学習モデルが訓練された。その結果、XGBoostモデルは感度を除くすべての指標で優れたパフォーマンスを示した(感度:33.21%、特異度:81.06%、正答率:79.37%、F1スコア:49.27%)。胎児死亡予測において重要な属性として、初回の出生前ケア訪問の時期、母親の年齢、学歴、妊娠間隔が特定された。
本AIモデルは、社会人口統計学的データ、臨床データ、家族歴などを分析することで、死産リスクを特定し、早期介入を可能にする可能性がある。研究者らは「今回のモデルは胎児死亡の予測に優れた性能を示したものの、感度が低いため、死産リスクの症例を十分に捉えられていない可能性がある。今後はハイブリッド機械学習モデルの開発を進め、ブラジルの公衆衛生対策に活用できるよう目指す」と述べている。
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