医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例合成データで学習したAI、適応光学眼底画像の錐体検出を自動化し臨床応用に道

合成データで学習したAI、適応光学眼底画像の錐体検出を自動化し臨床応用に道

AOSLO(適応光学走査型レーザー検眼鏡)画像は、生体内で錐体視細胞を可視化できる一方、定量解析には熟練者による手動での細胞同定が必要で、時間と専門性を要する。自動化が求められてきたが、AOSLOの性質上高品質画像の大量取得は容易ではなく、正確なラベル作成には専門家の多大な労力と時間を要するため、ラベル付き実画像の不足が大きな障壁となっていた。こうした課題に対し、研究チームは合成画像を用いて学習させた深層学習モデルを構築し、錐体自動検出の精度を実データで検証した。これらの成果が、英国オックスフォード大学の研究チームによりScientific Reportsに掲載された。

研究では、錐体フォトレセプターモザイクの合成画像を生成する既報のシミュレーションツールであるERICA(Emulated Retinal Image CApture)により生成したAOSLO画像の大規模な合成データセットと、実画像の小規模なAOSLOデータセットで学習された。その結果、Dice係数0.989と、自動錐体検出法のゴールドスタンダードであるCNN法やグラフ理論ベース手法と同等の精度を示し、専門家による手動ラベリングと同等の一致度を示した。

今回の研究は、合成データを活用することで注釈付き実画像の不足を補い、AOSLO画像の自動解析を実現できる可能性を示唆する。錐体モザイクの定量評価が自動化されれば、網膜疾患における細胞レベルのバイオマーカー抽出が現実味を帯びる。今後は杆体や血管を含むより多様な病的画像への拡張が期待され、診断や治療効果判定への応用が進む可能性がある。

参照論文:

Automated cone photoreceptor detection using synthetic data and deep learning in confocal adaptive optics scanning laser ophthalmoscope images

関連記事:

  1. 涙から細菌を分析 スマートフォンを医用顕微鏡に変える技術
  2. 顕微鏡のぼやけや歪みを解消する新技術
  3. 眼に触れずに光音響画像を得る新研究

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

本吉絢
本吉絢
東京女子医科大学卒(MD)、同大学医学研究科博士課程修了(PhD)、米University of Washington研究員を経て、現在は神戸アイセンターにてリサーチアソシエイトとして眼科AI研究に取り組む。趣味は自然と猫や馬など動物たちを愛でて静かに過ごすこと。
RELATED ARTICLES
spot_img

最新記事

注目の記事