従来のマイクロロボットは単純な直線や回転運動に限定されており、複雑な生体内環境での操作が大きな課題となっていた。米国の研究チームは、機械学習(AI)を用いて設計された音響駆動型マイクロロボット「ECHObots」を開発し、その成果をNature Communications誌に報告した。
本研究の目的は、独自に配置した「人工繊毛」を用いて、一つの駆動源で曲げ、回転、開閉などのハイブリッドな動作を自在に実現できるプラットフォームを構築することにある。そこでECHObotsの設計にはランダムフォレストモデルを採用し、繊毛のアスペクト比や長さといった幾何学的パラメータと、共振周波数・振幅との非線形な関係を学習させることで、AIによる最適化を高精度に達成した。このAIモデルにより、従来の設計手法と比べて計算時間は10万倍以上短縮され、メモリ使用量も20分の1以下に削減されている。さらに、実際に作製されたデバイスは1ミリメートル以下と極めて小型で、音響エネルギーのみで駆動可能であることが確認された。加えて、200サイクル以上の繰り返し動作においても、高い可逆性と再現性が維持されることが示された。
今回の研究結果は、AIによる構造最適化がマイクロスケールの駆動制御において、極めて強力なツールになることを示唆している 。研究チームは、このマイクロロボットが、標的への精密なドラッグデリバリーや低侵襲手術、さらにはバイオセンサーなどの広範な医療分野への応用向けた重要な一歩になると展望している。
参照論文:
Machine learning–driven design of engineered cilia enables hybrid operations in acoustic microrobots
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