妊娠高血圧腎症は、母体および胎児にとって主要な合併症であり、特に分娩直前に急速に発症する症例では早期予測が困難である。従来のリスク評価は妊娠初期のデータに依存することが多く、妊娠経過中に変化する臨床データを反映した短期的な発症予測は十分に確立されていない。米国の研究チームは、電子カルテに記録された通常診療データを用いて、妊娠週数ごとに発症リスクを更新する機械学習モデルを構築し、その成果をJAMA Network Openに発表した。
本研究では、58,839件の妊娠データを対象に、ニューヨーク市内の3施設の電子カルテデータを用いて実施された。複数のモデルを比較した結果、XGBoostが最も優れた性能を示した。妊娠32〜34週における2週間以内の発症予測では、Weill Cornell Medical Collegeの訓練データでAUC0.863〜0.866を示し、外部検証としてLower Manhattan HospitalではAUC0.834、Brooklyn Methodist HospitalではAUC0.806〜0.808を示した。AIモデルに対する各特徴量の寄与度を調べるSHAP解析では、血圧が最も重要な予測因子であり、32〜34週ではアルブミンやALPなどの検査値の寄与が大きく、38〜40週では母体年齢や白血球数などの母体背景因子の重要性が高まることが示された。
本研究では、電子カルテに蓄積された通常診療データを活用し、妊娠週数ごとに発症リスクを更新する動的予測モデルを提案した。研究者らは「妊娠の進行に伴い蓄積される妊婦健診の縦断データを予測モデルに組み込むことで、妊娠高血圧腎症の近い将来の発症リスクを継続的に評価できる」と述べている。
参照文献:
Machine Learning for Dynamic and Short-Term Prediction of Preeclampsia Using Routine Clinical Data
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