医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例33種のがんリンパ節転移を横断的に診断するAI、初の多施設前方視的検証

33種のがんリンパ節転移を横断的に診断するAI、初の多施設前方視的検証

リンパ節転移はがんの病期分類および治療方針の決定において重要な指標であるが、全スライド画像の読影には多大な時間的負担がかかり、特に微小転移の見落としが課題となっている。従来、AIを用いた病理診断支援は特定のがん種に限定されることが多く、複数のがん種に横断的に適用可能なモデルの開発が求められていた。中国の研究チームはこの課題の解決を目的として、リンパ節転移検出のためのAIモデルを構築し、その成果をThe Lancet Digital Healthに発表した。

本研究では、ディープラーニングを基盤とした「PanCAM」を開発し、33種類のがん、17施設、約9,000例以上の症例および大規模な病理画像データを用いて学習および検証を行った。その結果、後ろ向き検証および前向き検証のいずれにおいてもリンパ節転移検出感度は0.93〜1.00の範囲を示し、安定して高い診断性能が確認された。また、AUCは0.96〜1.00と一貫して高値を示し、特に微小転移症例において従来の病理診断で見逃されていた症例の追加検出が可能であった。

本研究の新規性は、大規模な多施設データセットを用いてモデルを構築し、リンパ節転移検出におけるAIの多施設前向き検証を初めて実施した点にある。著者らは「本モデルは多がん種に適用可能な診断支援ツールとして臨床実装の可能性を有する」と述べている。一方で、主に中国のコホートを中心としたデータで検証されているため、異なる国・人種・画像取得条件における外部妥当性の検証が必要であり、実臨床への一般化にはさらなる検討が求められる。

参照論文:

Artificial intelligence-based pathological model for pan-cancer lymph node metastasis detection: a multicentre diagnostic study with retrospective and prospective validation

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Kazuyo NAGASHIMA
Kazuyo NAGASHIMA
長島和世 群馬大学医学部卒(MD)、The University of Manchester(MPH)。WHO/EMROにて公衆衛生対策に従事。2025年度より、アラブ首長国連邦にて、プライマリーケア診療。
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