個人で異なる腸内細菌の分布や血糖値の変動をAIで解析し、ダイエット方法など栄養学の領域で個人にとっての最適解を導こうとする動きがある。万人に共通のダイエット食品や健康食品は存在しない、という当たり前の結論も証明できそうな時代に突入している。
The New York Timesの記事で、心臓病専門医で分子医学の教授Eric Topolが、自身の参加したプロジェクトを紹介している。リアルタイムで記録された血糖値など各種生体データおよび腸内細菌のAI解析結果を、その期間内の食事内容と照合して、個人に有用あるいは避けるのが望ましい食品をランク付けする試みだ。例えばチーズケーキはA、イチジクのシリアルバーはC-のように、血糖値の急激な変化を避けることや、糖代謝に関連する細菌Bacteroides stercorisの分布などから評価されている。
2015年に学術誌Cellにイスラエルのグループが発表した、食事と血糖値変化が腸内細菌叢により個別化されることを機械学習アルゴリズムで解析した研究が、この領域の進化の端を発している。AIで医療の個別化がすすむなか、自分に適した食事あるいは安全なダイエット方法を根拠をもって再評価できるようになってきた。「Siri、私は何を食べればいい?」その答えが返ってくる時代は決して遠くないだろう。