適切な医療を早期に受けられるかどうか。高齢化で負荷を増してゆく医療システムと、貧富の差や地域による医療の格差を埋めるべくAI支援医療に期待が高まっている。心疾患を診断するAI聴診器(過去記事)と同様に、呼吸器疾患での実用例を紹介する。
英メディアHealth Tech Newspaperの報道によると、英スタートアップのFeebrisはAI聴診器の開発で、シードラウンドにおいて110万ポンド(約1億5千万円)を調達した。2017年の設立後、同社のAI診断ソフトウェアは小児肺炎を聴診で診断するムンバイでの臨床試験で、血液検査とX線検査による病院での診断に匹敵する正確さを達成している。調達資金はインドでの遠隔診断プラットフォームの拡大や、英国内で高齢患者を主な対象とした製品開発にあてられる。
FeebrisはGoogle for Startupのプログラム『AI for Good』にも選ばれ、支援を受けている。Forbesのインタビューに、同社のCEOであるElina Naydenova博士は「2019年現在でも、治療可能な肺炎の診断の遅れから、世界で年間100万人近くの子どもが死亡する状況です。そして世界全体での医療従事者の不足は720万人と試算されています。私たちの製品の直感的なインターフェースは医療者以外でも異常を見つけることができ、適切な医療へとつなげる手助けとなるでしょう」と語っている。