メイヨークリニックは米国病院ランキングトップの常連で、世界中から患者が集まり1兆円を超える年間売上をあげるなど、ヘルスケアプロバイダー界の巨人として知られる。医療の質の高さは言うに及ばず、独自の強力な経営戦略はたびたび話題を集める。今月、メイヨークリニックは初めての英国進出を果たすが、この鍵は「AIによる予防医療の加速」にありそうだ。
3日、Healthcare IT Newsが報じたところによると、英ロンドンに開設される新しいクリニックは、メイヨークリニックとオックスフォード大学との共同事業であるという。プライマリケアの充実・医学研究の促進・患者アウトカムの向上などを設立の目的に挙げているが、積極的なテクノロジー導入による予防医療の拡充にも大きな関心を持つ。開設されるクリニックではCerner社の電子カルテが導入されるが、同社はAmazon(特にAmazon Web Services: AWS)との積極的な協力体制を7月に表明しており、CEOのBrent Shafer氏は「Cernerがもたらす次なるヘルスケアイノベーションの核はAIにある」ことを隠していない。
英国は国民保健サービス(NHS)による中央管理的な医療提供体制のもと、総合診療医(GP)による強固なゲートキーパー機能を確立した。近年の医療費高騰を背景に予防医療に対する政府の関心は非常に高く、プライマリケアレベルへのテクノロジー導入によって有効に医療費を抑制できるかにも大きな注目が集まっている。