オランダ・アムステルダムに本拠を置く多国籍企業、Philipsをご存知だろうか。日本では一般的に電動カミソリや電動歯ブラシでの知名度が高いが、ヘルスケア市場においては、医療用画像機器メーカーとしてその存在を広く知られている。Philipsの研究部門であるPhilips Researchが取り扱う研究開発は近年、医療AIに大きく傾倒している。
SearchHealthIT.comが5日報じたところによると、Philips North Americaの医療部門責任者で、Philips Research Americasを率いるJoseph Frassica医師は「現在、我々が進める研究開発の約60%がソフトウェアや機械学習に関連するものだ」と話す。米マサチューセッツ州ケンブリッジのPhilips Research North Americaでは、450名以上がヘルスケアIT市場向けの製品開発とテストに取り組んでいるという。開発中のテクノロジーには、スマートグラスを利用した心臓カテーテル検査支援の医療用ARシステム、電子カルテを分析することで院内感染ルートを同定するAIプラットフォーム、皮膚の色調変化を捉えることで脈拍数や呼吸数といった患者バイタルを、患者に触れることなく測定できる非接触式カメラモニタリングツールなどが含まれている。
AIはヘルスケアにおける真のゲームチェンジャーとなる可能性を持ち、このことは多くのヘルスケア関連企業が認め、その一部は医療AIの実開発へと結びつけている。かつてモノ・デバイスを「製造」する企業と考えられてきたPhilipsは今、時代の潮流を捉え、新しい道を確かに歩み始めている。