体外受精(IVF)は、妊娠を望む人々にとって価値あるソリューションとなってきた。一方で、体外受精の平均成功率は30%程度にとどまっており、技術的な打開策は多面的な検討が進められている。米国ブリガムアンドウィメンズ病院とマサチューセッツ総合病院の研究チームは、健康な出産に繋がる可能性が高い胚を高精度に選択できるAIシステムを開発した。
eLifeにて15日公表されたチームの研究論文によると、人工授精後113時間で取得された数千に及ぶ胚画像から、深層学習アルゴリズムをトレーニングしたという。導出されたアルゴリズムによる妥当性試験では、742個の胚から高品質なものを90%の精度で識別するなど高い汎化性能を示していた。また、胚の選定を行う臨床専門家との比較試験においても、そのパフォーマンスは有意に上回っていたとのこと。
アルゴリズムは高い識別精度を有す一方で、著者らは「当該システムが専門家による胚選択を支援するツール」であることを強調しており、あくまでスタンドアローンの選別システムとして臨床展開する意図のないことを明らかにしている。