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ピッツバーグヘルスデータアライアンスが腫瘍学・精神医学領域で新しい機械学習モデルを開発

ピッツバーグヘルスデータアライアンス(Pittsburgh Health Data Alliance, PHDA)は、ピッツバーグ大学メディカルセンターやピッツバーグ大学、カーネギーメロン大学などの研究者からなる組織で、関連施設から集積したデータを健康増進や医学の向上に役立てることに主眼を置く(過去記事)。昨年明らかにしたアマゾンウェブサービス(AWS)との提携以降、PHDAは順調な研究計画の推進に成功し、このほど腫瘍学・精神医学領域において新しい機械学習モデルを開発したことを公表した。

Healthcare IT Newsは6日、本研究成果について報じている。1つ目は乳がん発症リスクに関するもので、ピッツバーグ大学放射線科が率いた。チームは226名・450枚の正常なマンモグラフィ画像を収集し(うち半数は後に乳がん発症に至るもの)、AWSツールを利用した上で2つの異なる機械学習モデルを構築した。チームのモデルは、従来の画像マーカーである乳腺密度の定量測定を超える予測精度を示していた。また、既存のスクリーニングシステムに統合することで、より個別化されたアプローチの実現を提唱している。さらに同大学が主導した他方の研究では、非侵襲的・客観的にうつ病の可能性を検出できる新しいシステムを開発した。これは音声と表情からうつ病の存在を識別するもので、うつ病スクリーニングの精度・効率を高める革新的技術になる可能性を示唆しているという。

PHDAは今後、動脈瘤の予測モデルやがん細胞の進展予測、電子カルテの解析などにAIアプローチを活用することを予定する。AWSの機械学習担当バイスプレジデントであるSwami Sivasubramanian氏は「PHDAで行われている多大な影響力を持つ研究事業に、機械学習サービスとクラウドコンピューティングリソースを提供できることを嬉しく思う」と話している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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