原発性乳がんの診断と予後に関連するマーカーは種々同定されているが、がんの攻撃性に影響を与えるドライバー遺伝子はその理解が限定的である。イラン・パヤメヌール大学の研究チームは、アンサンブル学習により、転移性乳がんのドライバー遺伝子を評価する機械学習アルゴリズムを構築し、新たな意思決定戦略を提唱している。
BMC Medical Genomicsから7日公開されたチームの研究論文によると、450の転移性乳がんサンプルからなる体細胞変異データを利用し、このアンサンブル分類器を導いたという。EARNと名付けられたこのアルゴリズムは、人工ニューラルネットワーク・ランダムフォレスト・非線形ベクターマシンのアンサンブルであり、転移性乳がんにおけるドライバー遺伝子候補を明らかにする。研究チームはこのうち、上位100の遺伝子に対して経路濃縮分析を用いることで、転移性乳がんの新しい遺伝子セットパネルを提案している。
転位性乳がんの結果を、浸潤性乳管がんの原発腫瘍サンプルにおける出力と比較したところ、ROC-AUCは99.79%にも達していた。また、これらの結果は個別の分類器を活用する場合よりも有意に優れたパフォーマンスを示した。著者らは「アンサンブルアプローチを利用したこの研究成果は、全ゲノム・エクソームシーケンスの必要性を排除するような、コンパクトなターゲットパネルの設計に役立つ」としている。
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