BreastPathQ Challengeは乳房組織の顕微画像を分析し、腫瘍細胞の形態特徴から悪性度や治療効果などを識別する自動化アプローチを開発するもの。世界12カ国から39チームを集めたこのグランドチャレンジにおいて、合計100のアルゴリズムが開発および検証された。
術前薬物療法を意味するネオアジュバント療法は、乳房全摘術の適応となるような大きな腫瘍の縮小によって乳房部分切除を可能にするほか、抗がん剤の効果を確認する、転移性がんの病状コントロールを行う、などの重要な利用用途を持つ。現状、専門医はネオアジュバント療法の効果を医用画像から手動で予測し、その導入の有無を判断している。AIの導入は比較的主観的とされるこのプロセスの効率と信頼性を高める可能性があり、自動化への期待が大きかった。
BreastPathQ Challengeでは、参加チームのほとんどは単一のAIアーキテクチャに絞ることなく、複数のアルゴリズムをアンサンブルして使用していたことが大きな特徴であった。なかでも最高のパフォーマンスを示したアルゴリズムにおいては、病理学者のスコアを有意に上回ったことが確認されている。全体傾向として、アルゴリズムは人間にとっても識別の容易な画像ではより高精度に機能し、識別の困難な画像ではその精度がやや低下している事実を認めた。
このグランドチャレンジの結果は「乳がんの治療方針策定にAIが統合される未来は遠くない」という結論を妥当に支持している。本成果はJournal of Medical Imagingから8日、オープンアクセスの研究論文として公開されているので、関心のある読者は参照のこと。
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