インプラント周囲の組織や骨に感染が波及するインプラント周囲炎は、歯科インプラント患者の4人に1人を悩ませる合併症で、歯槽骨の破壊にまで至ることがあるためその重要度は高い。一方、どの患者がインプラント周囲炎を発症しやすいか、またどのような治療に反応するか、などを予測するための信頼できる確立された手法はまだ得られていない。
米ミシガン大学歯学部の研究チームは、インプラント周囲炎の外科的治療後の転帰を予測する機械学習アルゴリズムの開発に取り組んでいる。Theranosticsからこのほど公開されたチームの研究論文によると、組織の免疫プロファイル、微生物コロニー形成のダイナミクスなどから教師なしクラスタリングを行ったところ、有意なリスクの層別を達成したという。研究成果は「従来の単一バイオマーカーと比較して、免疫状態の複合評価によってインプラント周囲炎の治療後転帰を強力に予測する」ことを強調している。
研究チームは「特定の治療に反応する患者を同定するためのアプローチも提供できる」とし、インプラント治療を巡る深刻な合併症への、革新的ソリューションとして期待を大きくしている。医学領域での急速な普及に比して、歯科領域におけるAI活用は目立っておらず、今後の発展の契機となるかにも注目が集まる。
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