睡眠時無呼吸(SAS: Sleep Apnea Syndrome)は、生活習慣病との合併や、寿命との関連が指摘されている。自宅で可能な治療法として、専用マスクと送気装置によって睡眠中の気道と呼吸を確保する「CPAP」や「BiPAP」と呼ばれる治療法がある。しかし、その専用マスクのフィッティングがうまくいかないことは、着用の不快感のみならず治療の効果を妨げる。
カナダ拠点のスタートアップ「AR Medical Technologies」の24日付プレスリリースによると、同社はCPAP/BiPAPマスクの正しい選択をサポートするアプリ「MaskFit AR」の発売を発表した。スマートフォンカメラのAR技術で患者個人の顔面計測を行い、世界最大規模のCPAPマスクデータベースと統合して、ニューラルネットワークアルゴリズムの補助のもと最適なマスクを選択する。iPhone/iPad搭載で3D画像キャプチャを行うTrueDepth技術、あるいは高解像度のカメラによる2D画像でもアプリの利用が可能である。
アプリのダウンロードと会員登録は日本国内からも可能だが、関連する医療機器メーカーや医療機関との連携は確立されていない。MaskFit ARは2013年から研究開発を進め、現在も米Mayo Clinicと共同で技術プラットフォームの検証作業を続けている。同社が目標に掲げる、臨床効果の改善や在庫管理効率の向上、マスク廃棄物の削減効果が果たされるか、その検証の進捗に注目していきたい。