Canonが各種検査で画像再構成技術(DLR: Deep Learning Reconstruction)の実用化を進め、規制当局の認証をクリアしてきたことをこれまで紹介してきた(過去記事)。
Canon Medical Systems USAの10日付プレスリリースによると、同社のDLR技術「AiCE」はデジタルPET/CTシステム「Cartesion Prime」における米FDAの510(k) 認証を取得しており、6月12日~15日開催のSNMMI (米国核医学会・分子イメージング学会)2021年次総会でシステムが展示される。AiCEの深層ニューラルネットワークに基づくDLRが分子イメージングの領域にも進出したことで、画質の向上のみならず、患者にとってさらなるスキャン時間および被曝の低減につながる。
がんの全身検索に有効なPET/CTであるが、近年のシステムでも撮像に20分程度の安静が必要なため、姿勢保持が難しい状況の患者にとって負担が大きい。また、検査前1~2時間に検査用の放射性核種(18F-FDG)を静脈注射で体内に取り込ませるプロセスもある。AiCEは検査プロトコルに組み込んでスキャン連動で再構成することにより、AiCEの被爆低減効果を見込んだ最適条件を設定することが可能となり、高速化・低線量被曝の点から患者の負担軽減が期待できる。Canonの技術搭載が各種検査に出揃ってきたことで、DLRにおけるAI技術の実用化はいよいよ身近なものになってきた。
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