GE Healthcareはこのほど、Spectronic Medicalとの協力によってMRI画像を「合成CT画像」に再構成し、より正確ながん治療計画立案を実現するAIソフトウェアの提供を明らかにした。がん治療患者の60%に放射線治療が必要となるが、放射線治療計画の策定には、病変部のみを標的選択するための高品質画像が求められる。CT画像が現在のゴールドスタンダードであるが、軟部組織のコントラストがなく同部の描写に劣ることと、放射線被曝などが問題となってきた。
GE Healthcareが明らかにしたところによると、ベースとなったのは同社の深層学習による画像再構成技術と、Spectronic Medicalによる画像変換技術であるという。GEのAIR Recon DLはMRI画像の生データからノイズの低減、画質および解像度の最大化、スキャン時間の短縮までを実現するもの。ここにSpectronic MedicalによるMRI画像からCT画像への変換技術を適用することで、「軟部組織の詳細までを描写できるCT画像」を合成することに成功している。
この画期的技術について、スウェーデン・スコーネ大学病院のAdalsteinn Gunnlaugsson医師は「この合成CT画像により、従来のCT画像や複数画像アプローチの必要性そのものを排除できる」とし、臨床ワークフローの合理化と患者アウトカム改善に新技術が大きく貢献し得る可能性を強調している。
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