アルコール乱用が社会問題であるアメリカでは、外傷患者の1/3でその乱用が背景にあるといわれる。診察時に飲酒状態が不明の潜在的な乱用患者を拾いあげることで、外傷の再発防止と飲酒運転の減少などが期待できる。カルテからAIがアルコール乱用患者を自動識別する技術を紹介する。
米メディアEurekAlertによると、ロヨラ大学のグループは、アルコール乱用を予測する16の要素、中毒・ネグレクト・問題行動・性的活動・マリファナ・ビタミンB1(アルコール依存症患者の欠乏症治療を反映)などを電子カルテ記録から解析し、自然言語処理が可能な機械学習アルゴリズムを開発した。このAIはアルコール乱用が基礎にある外傷患者を78%の正確性で識別できたと報告している。
米学術誌JAMIAに掲載された論文では、現在のアルコール使用障害スクリーニング(AUDIT)の問題点も指摘している。アルコールに関する質問に患者が誠実に回答しない場合、そもそも回答できない状態にある場合、テストを行うスタッフの負担が大きい事実、などが挙げられている。研究グループの医師は「スクリーニングテスト自体が医療システムに多大なコスト負担を課している。アルゴリズムは無償公開予定で、アルコール乱用患者への一連の取り組み(SBIRT)など現場での活用を期待する」としている。