医療費の請求よりも安価な検査が実際行われていた時、それは単なる間違いかそれとも詐欺なのか?FBIの試算では医療詐欺により年間数千億ドルが米国内で負担されているという。医療システム全体のコストを押し上げる不正は、健全な医療を妨げる。AIは医療詐欺や不正請求に対抗できるだろうか。
Forbesによると、医療詐欺の潜在的可能性へのフラグ立てにAIが効果的だという。典型的な医療詐欺の一例『アップコーディング』は、実際の医療行為よりも高価な種類のコードで医療費を請求するものである。疾患に則した検査と治療選択肢をAI自身が理解することで、逸脱した医療の動きに詐欺の可能性のフラグを立てる。『キックバック』は、仲介・紹介関連で不当な利益を得る不正である。医師からの患者紹介先の履歴にある不自然な偏りや、恩恵にあずかる団体から支給された旅費などに、不正の芽を検知できるようになるという。
異常検出のAI技術発展の一方で、意図的な不正と偶発的な事故との判別は今後の課題となる。臨床研究目的など非定型的な医療行為がAIアルゴリズムで検出された場合など、最終判断はヒトの手に委ねられる。日本においても、医療現場が更なる事務負担で疲弊しないよう、誤検出の少ない、信頼性の高いAIアルゴリズムが期待される。