鎮痛薬のオピオイド(広義での麻薬)は90年代以降、米国で急速に流行し世界消費の大半を占める。鎮痛を求めた患者が薬物自体に依存するようになった。過剰摂取での中毒死亡、依存患者のトラブルが後を絶たず、2017年にトランプ大統領は米国の公衆衛生上の非常事態『オピオイド危機』を宣言した。
Emerjによると、インディアナ州hc1.com社のオピオイド乱用検出プラットフォーム『Opioid Dashboard』は、処方箋の機械学習から、処方量と乱用の相関を検出できる。郵便番号・年齢・性別などの指標でリスクが高い地域を地図表示する。医療者は処方の際にリアルタイムデータでリスクを把握できる。インディアナ州は年間1000人超のオピオイド過剰摂取死亡者と多額の医療費を経験し、同社のパートナーとして流行改善に強く取り組む。
中毒患者治療では、IBMのAI ワトソンをベースとしたスタートアップ『Behaivior』が注目される。FitBitのようなウェアラブルデバイスが、中毒患者の心拍・体温・動き・皮膚反応を検知し、GPS位置情報と統合し、依存症の再発危険性を検知し早期介入可能という。オピオイド乱用は貧困地域で起こりやすく、経済格差の影響を受けやすいAIビジネスが持続可能な収益を確保できるかも今後の課題となる。