AIはオピオイド乱用からアメリカを救えるか?

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鎮痛薬のオピオイド(広義での麻薬)は90年代以降、米国で急速に流行し世界消費の大半を占める。鎮痛を求めた患者が薬物自体に依存するようになった。過剰摂取での中毒死亡、依存患者のトラブルが後を絶たず、2017年にトランプ大統領は米国の公衆衛生上の非常事態『オピオイド危機』を宣言した。

Emerjによると、インディアナ州hc1.com社のオピオイド乱用検出プラットフォーム『Opioid Dashboard』は、処方箋の機械学習から、処方量と乱用の相関を検出できる。郵便番号・年齢・性別などの指標でリスクが高い地域を地図表示する。医療者は処方の際にリアルタイムデータでリスクを把握できる。インディアナ州は年間1000人超のオピオイド過剰摂取死亡者と多額の医療費を経験し、同社のパートナーとして流行改善に強く取り組む。

中毒患者治療では、IBMのAI ワトソンをベースとしたスタートアップ『Behaivior』が注目される。FitBitのようなウェアラブルデバイスが、中毒患者の心拍・体温・動き・皮膚反応を検知し、GPS位置情報と統合し、依存症の再発危険性を検知し早期介入可能という。オピオイド乱用は貧困地域で起こりやすく、経済格差の影響を受けやすいAIビジネスが持続可能な収益を確保できるかも今後の課題となる。

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TOKYO analytica
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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。専門はメディカルデータサイエンス。ロンドンでのベンチャーエンジニアを経て、英国内の大学で医療データベース研究に従事。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。