甲状腺は体表に近い頸部の臓器で、エコー(超音波)検査が重用される領域である。検査の非侵襲性によるメリットと診断精度のバラつきによる課題は、以前に心臓エコーでも紹介した(過去記事)。中国発の以下2編のAIによるエコー診断技術は、いずれも診断医単独の精度を上回る成果を示している。
米メディアHealioでは、済南大学医院のグループがエコーによる甲状腺結節の悪性診断に機械学習(Random forest)を応用し、診断医単独よりも精度を向上させたと紹介している。また、青島大学医学院附属医院のグループが学術誌World Journal of Surgical Oncologyに発表した論文では、甲状腺エコーに深層学習(YOLOv2)による自動画像認識を組み込んでいる。甲状腺がんのAIによる自律診断が、感度・陽性適中率・陰性適中率・正確度で診断医に劣らず、特異度では上回ったという。
エコー診断でのAI技術は、心臓・甲状腺・乳腺など各領域で十分な成果をあげつつある。次の段階では、領域を選ばない総合的な診断能力を組み込まれたエコー機器が、医療現場で実用化されてゆくことになる。NVIDIA社のGPUクラウドのようなソフトウェアが競合し、覇権争いが続けられるだろう。