英国では近年、認知症高齢者の入院が急増しているが、主な原因は定期内服の失敗や情緒の不安定などで、必ずしも重篤な疾患罹患に伴うものではないとされる。ラジオとAIを利用し、認知症高齢者の生活を変容させることで、入院を避け家庭での豊かな生活を取り戻そうとする取り組みを紹介する。
英プリマス大学が20日公表したところによると、英国の公的研究助成機関の1つ”The Engineering and Physical Sciences Research Council”による270万ポンドの助成を受け、新しい高齢者対象研究が行われるという。AIによるラジオ放送内容の個別最適化により、認知症高齢者の入院率低減を図ろうとするもので、放送内容は個別の服薬リマインダーや治療関連情報の提供だけでなく、嗜好に応じた音楽放送など多岐に渡るとのこと。
IT技術の向上を背景に、Connected Healthcareと呼ばれる「患者情報の統合による個別化医療の実現」が注目を受けるようになった。一方で、特に高齢者においては先端デバイスの導入が壁になりやすい。本研究では、高齢者により馴染みの深いラジオをメインのプラットフォームとして採用していることに大きな新規性があり、関心が集まっている。