スペインの多施設共同研究チームは、致死性不整脈を心電図波形から捉える新しいAIアルゴリズムを開発した。AEDへの搭載により、病院外での心停止症例に対し、より適切な除細動判定を行える可能性がある。
オープンアクセスジャーナル・PLoS ONEにて今週公開されたチームの論文によると、新しいアルゴリズムは従来の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)単独ではなく、長短期記憶(LSTM)ネットワークを複合させた深層学習アーキテクチャにより構築されたという。得られた識別器は従来の精度を大幅に上回っており、米国心臓協会(AHA)がAEDに求める「除細動実施のための正確性基準」を十分に満たしているとのこと。
病院外での心停止発生率の世界平均は、1年間で10万人あたり55例と必ずしも稀なものではない(参考論文)。先進国を中心に市街地へのAED普及が進んでいるが、そのデバイスは正確な心電図波形の評価と除細動判定を行えることが、自明の前提として置かれている。高い精度を求める同種のアルゴリズム開発は、今後も積極的に進んでいくに違いない。