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Optovueの網膜疾患診断AI 多施設臨床試験を完了

赤外線を利用することで眼底三次元画像を得られる光干渉断層撮影(OCT)は、眼科診断領域での普及が進んでいる。網膜の断面を画像化することで、浮腫の程度や出血の範囲・深度などを正確に把握することができる。この度、OCT画像から網膜疾患を識別することで話題を集めたAIシステムが、その臨床試験を完了した。

オンライン光工学メディア・Optics.orgの報道によると、米Optovueと中国Ping An Technologyが共同開発したこのAIシステムに関する臨床試験は、昨年12月、上海に所在する3つの大学病院で開始されたものだという。試験結果では、OCT検査からシステムによるレポートが生成されるまでに3分しかかからないこと、病変部位の特定精度が98.6%、緊急性の評価精度が96.7%と、その迅速性と高い識別精度などが確認されたとのこと。

昨年、学術誌・British Journal of Ophthalmologyに掲載された論文では、眼科疾患の多くがAIによる正確な診断評価が潜在的に可能であることが指摘された。一方、アルゴリズムのトレーニングデータにおける多様性の不足、深層学習モデルのブラックボックス性などから、正規の手続きにより大規模な臨床試験に至る例はまだ限られていた。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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