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ヘルスケアプロバイダーの情報格差を埋める米国の新しい取り組み

米連邦政府機関のひとつメディケア・メディケイドサービスセンターは、ヘルスケアプロバイダーがclaims data(請求データ)に容易にアクセスできることを目指すパイロットプログラム「Data at the Point of Care」を公表した。

claims dataは、医療機関が保険者に医療費を請求する際のデータで、疾患名や治療内容などの診療情報を多く含み、場合によっては患者転機までを確認することができるなど、医療の質向上に直接的に役立てられるデータベースと言える。Healthcare IT Newsが報じたところによると、このパイロットプログラムでは、ヘルスケアプロバイダーが対象患者の既往歴や過去に受けた処置、治療薬リストにアクセスできるようにすることで、正確な患者情報の把握を行なうことを期待しているという。

米国においてはヘルスケアプロバイダーの情報格差が深刻で、医療の質と患者アウトカムの明確な差に繋がる現状がある。現時点でプログラムはパイロットフェーズにあり、プロバイダーと協調してシステムの調整を行なう段階だが、2020年の1月には全てのメディケアプロバイダーが患者のclaims dataにアクセスできる環境の構築を目指している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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