医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例患者・医療者サポートへのAI活用事例Ambient Clinical Intelligence - 医師を書類作業から救うAI環境開発

Ambient Clinical Intelligence – 医師を書類作業から救うAI環境開発

テック大手のMicrosoftは、音声認識で知られている米Nuance Communicationsと提携し、医師の煩雑な書類作業を激減させるAI環境開発を進めている。

Fierce Healthcareの報道によると、Microsoft AzureのクラウドプラットフォームとAI技術に、Nuanceが持つ臨床文書および臨床現場での音声認識に関する専門技術を統合し、Ambient Clinical Intelligence(ACI)の開発を図るという。具体的には、新しいこのテクノロジーは診察中の医師と患者の会話を「聞く」ことで、会話データを電子カルテのコンテキスト情報と併せ、自動的に患者の医療情報を更新することができる。Microsoftでヘルスケア戦略を担当するGreg Moore医師は「コンピュータは大抵の場合で、医師と患者間のやり取りやアイコンタクトの妨げとなり、両者の不満足な体験に繋がる」としている。ACIは医師による積極的な入力作業を要さない極めて静的なシステムであることから、医師は臨床現場でより患者にフォーカスすることができるようになる。

近年の研究では、プライマリケア医は「患者ケア1時間あたり2時間もの電子カルテ作業に追われている」との報告もあり、診療時間後にも書類作業にあたるなど、医療記録の入力作業自体が医師の燃え尽きを助長することが指摘されてきた。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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