テック大手のMicrosoftは、音声認識で知られている米Nuance Communicationsと提携し、医師の煩雑な書類作業を激減させるAI環境開発を進めている。
Fierce Healthcareの報道によると、Microsoft AzureのクラウドプラットフォームとAI技術に、Nuanceが持つ臨床文書および臨床現場での音声認識に関する専門技術を統合し、Ambient Clinical Intelligence(ACI)の開発を図るという。具体的には、新しいこのテクノロジーは診察中の医師と患者の会話を「聞く」ことで、会話データを電子カルテのコンテキスト情報と併せ、自動的に患者の医療情報を更新することができる。Microsoftでヘルスケア戦略を担当するGreg Moore医師は「コンピュータは大抵の場合で、医師と患者間のやり取りやアイコンタクトの妨げとなり、両者の不満足な体験に繋がる」としている。ACIは医師による積極的な入力作業を要さない極めて静的なシステムであることから、医師は臨床現場でより患者にフォーカスすることができるようになる。
近年の研究では、プライマリケア医は「患者ケア1時間あたり2時間もの電子カルテ作業に追われている」との報告もあり、診療時間後にも書類作業にあたるなど、医療記録の入力作業自体が医師の燃え尽きを助長することが指摘されてきた。