米国の健康保険会社Cignaは、AIを利用して患者の服薬遵守状況を評価する取り組みを開始する。特に糖尿病や心疾患などの慢性疾患を対象とし、服薬アドヒアランスの向上を通した「疾患コントロールと医療費の適正化」を目指す。
米CBS Newsの報道によると、利用されるのはHealth Connect 360というAIツールで、薬局の請求書データや治療記録、検査結果、生体データなどを総合して患者の服薬ステータスを評価し、リアルタイムで医療者に情報共有できるという。同サービスに参加する患者は、グルコース測定器と血圧測定用カフを用いた生体データの提供を行う。
ツールを作成したExpress Scriptsは「糖尿病患者の36%以上が服薬計画を遵守していない」とし、適切なアドヒアランスを確保すれば、患者一人当たり2500ドルの医療費が節約できると指摘する。一方で、特に米国においては定期服薬を守れない最大の理由に「高額な服薬コスト」があり、米国心臓協会(AHA)の調査では8人に1人の米国人が「処方薬が高額なために内服しないことがある」との結果を示している。
Health Connect 360では「より安価な代替薬を見つけるのに役立つ機能も提供していく」としており、医療を巡る巨大な問題がテクノロジーによる解決の足がかりを得るか、大きな注目を集めている。