2010年代からの深層学習技術の高度発達に伴い、医療を含むあらゆるシーンで様々なブレイクスルーを目の当たりにしてきた。AIに関連した企業やサイトなどでは「.ai」のドメインを利用するケースも急増しているが、そもそも「.ai」は何を指し示すものであったのか。
「.ai」は国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)のひとつで、ISO3166規格に基づく2文字コードとして、イギリス領アンギラに割り当てられたものだ。アンギラはカリブ海に浮かぶ美しい島で、特段にハイテク技術の振興著しいといった趣はない。単に「.ai」がAIを連想することから業界と紐づけられることとなり、2017年にGoogleが立ち上げたAI特化部門「Google AI」が、当時「.ai」ドメインを取得したことでも話題となった。ヘルスケア領域においては、Onward Healthやbehold.ai、qure.aiなどの著名スタートアップが同ドメインを活用している。
「.ai」ドメインに登録要件は無く、またSEOで有利であることとも相まって、世界中のAI関連企業から熱い視線を受けている。背景には、これまで長く広範に利用されてきた「.com」ドメインでは、直感的で印象的なものを探し出すことは今や容易ではなく、あっても非常に高価な取引額が設定されている現状がある。「.ai」ドメインは投資の対象とさえなりつつあるが、ユニオンジャックにイルカの紋章を添えた旗を掲げるアンギラの平和な光景は、10年前と少しも変わることがない。