AIの進展と急増する「.ai」ドメイン

2010年代からの深層学習技術の高度発達に伴い、医療を含むあらゆるシーンで様々なブレイクスルーを目の当たりにしてきた。AIに関連した企業やサイトなどでは「.ai」のドメインを利用するケースも急増しているが、そもそも「.ai」は何を指し示すものであったのか。

「.ai」は国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)のひとつで、ISO3166規格に基づく2文字コードとして、イギリス領アンギラに割り当てられたものだ。アンギラはカリブ海に浮かぶ美しい島で、特段にハイテク技術の振興著しいといった趣はない。単に「.ai」がAIを連想することから業界と紐づけられることとなり、2017年にGoogleが立ち上げたAI特化部門「Google AI」が、当時「.ai」ドメインを取得したことでも話題となった。ヘルスケア領域においては、Onward Healthやbehold.ai、qure.aiなどの著名スタートアップが同ドメインを活用している。 

「.ai」ドメインに登録要件は無く、またSEOで有利であることとも相まって、世界中のAI関連企業から熱い視線を受けている。背景には、これまで長く広範に利用されてきた「.com」ドメインでは、直感的で印象的なものを探し出すことは今や容易ではなく、あっても非常に高価な取引額が設定されている現状がある。「.ai」ドメインは投資の対象とさえなりつつあるが、ユニオンジャックにイルカの紋章を添えた旗を掲げるアンギラの平和な光景は、10年前と少しも変わることがない。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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