米テキサス大学オースティン校の研究チームは、医学雑誌における利益相反を検出する機械学習ベースのAIモデルを開発した。ところが、このAIモデルは著者らの予期せぬ結果「リプリントフィー(別刷り料金)を設定する医学雑誌は、業界からの金銭的支援を受けた著者によって執筆された論文を出版する可能性が高いこと」を見出してしまった。
査読つきオープンアクセスジャーナルであるPLOS ONEに掲載されたチームの研究論文によると、159の異なる医学雑誌から128,000を超える学術論文を解析し、利益相反の宣言文を追跡できるAIモデルを開発したという。このAIは、全体としてリプリントフィーを受け入れる医学雑誌は、そうでない医学雑誌に比べ、潜在的な利益相反を含む可能性が2.81倍高いことを示していた。
研究を率いたS. Scott Graham氏は、テキサス大学のニュースルームを介した声明のなかで「この発見には素直に驚いた」と話し、「これまで広告収入こそが医学雑誌の懸念と取り扱われてきたが、必ずしもそうではなかった」と主張する。現にチームの解析によると、医学雑誌が広告スペースを用意したとしても、リプリントフィーを受け入れていない場合、利益相反は明確に少なくなっていたという。同時に、ジャーナルが大規模な出版社に所有されている場合は、利益相反の割合がより高くなったとのこと。