オークリッジ国立研究所は米国エネルギー省の管轄下にあり、科学技術全般に関する一大研究拠点として知られる。同研究所のチームは、パウダーベッド方式の3Dプリンター向けに、リアルタイムで生成の品質評価を行うAIソフトウェアを開発した。
先週、オークリッジ国立研究所が公表したところによると、Peregrine(ハヤブサの意)と名付けられた同ソフトウェアでは、設計から原料選択、ビルド、テストに至るまで、製造プロセスの全てのステップにおいてデータ収集と分析を行うという。収集データからは、部品形状と原料についてより最適な選択を提示し、高価な特性評価装置の導入なく持続的な品質向上を自動化することができる。
Peregrineを開発した同研究所・主任研究員のLuke Scime氏は「積層造形の大きな課題の1つは、数日・数週間とかかり得るビルド時間において、数十ミクロンといった極小スケールの不具合を、マイクロ秒単位で気にしなければならないことだった」とし、完成品からはいつどこで欠陥が生じたのかを正確に捉えることが難しい点を強調する。Peregrineによる品質管理・向上の自動化システムは、3Dプリンティングの適用範囲を更に押し広げることが予想され、厳密さの求められる臨床現場においてもまた、技術発達の恩恵が期待されている。