これまでの住所・番地システムは、特定箇所の表記が長文になること、紛らわしい地名・通り名が無数にあること、所在地は示していても入り口を示しているわけでないこと、などが救急要請など一刻を争う状況においての深刻な阻害因子となってきた。英ロンドンに本拠を置くwhat3wordsは「3単語で3m四方の場所を伝達できるジオコーディングシステム」を開発している。
what3wordsが提供するジオコーディングシステムでは、世界を3m四方の正方形に区分し、それぞれに固有の3ワードアドレスを割り付けている。例えば、自由の女神像が持つ松明の位置は「toned、melt、ship」となる。what3wordsは35以上の言語に対応しており、これには日本も含まれ、一般利用者は無料でこのジオコーディングシステムを利用することができる。なお、what3wordsはあくまで2次元情報であるため、建物の階数や部屋番号は3単語に付記する形で示す必要がある。
商用利用に伴う費用負担の不透明さや閉鎖的なアルゴリズム、また静的グリッドによる区分のため、プレートテクトニクスに基づく地学的変動に対応していない(したがって最新のアドレスを追い続ける必要がある)など一定の問題はあるものの、革新的技術の潜在的な利用価値には救急医療の観点からも注目が集まっている。