医療過誤に分類される処方ミスは、日常臨床においてしばしば観察される用法・用量の間違いだけではなく、重複処方や禁忌薬処方など多岐にわたる。このような処方ミスを防ぐための処方箋監査は、薬剤師に独占業務として認められる「調剤」の重要な1領域だ。一方で、人的エラーによる見逃しや過重な業務負担を予防するため、技術による処方ミスの検出は広く検討が積み重ねられてきた。
パリ・サン-ジョゼフ病院の研究チームは、処方ミスを検出する機械学習アルゴリズムを構築し、既存ツールとの比較を行った。査読付き学術誌であるJournal of the American Medical Informatics Association(JAMIA)にて公開された研究論文によると、独立した検証データセットでは、412名に対する3,364の処方オーダーを分析したという。チームが開発した新しい検出システムは機械学習とルールベースを組み合わせたハイブリッドアプローチによるもので、既存の技術(CDSシステム・多基準クエリ)を大幅に上回る処方ミスの検出精度を示していた。
処方ミスの可能性が高いオーダーを自動検出するシステムは、処方チェックの精度と信頼性を直接的に改善するもので、病院システムへの速やかな統合が期待できる。各国における追試、競合システムによる質的向上に注目したい。