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C-Score – 10年以内の死亡リスクを推定する新しい健康指標

英国インペリアルカレッジロンドンやエクセター大学、オックスフォード大学などの研究チームは、個人の行動やライフスタイル因子から特定時点での健康を定量化し、死亡リスクを推定するための新しい指標を開発した。

16日、JMIR mHealth and uHealthから公表されたチームの研究論文によると、C-Scoreと呼ばれるこの健康指標は、あらゆる原因による死亡リスクを捉える包括的な指標として機能することを目指してデザインされたという。多次元的な情報に基づきながら、広く容易な利用を可能とするため、スマートフォンベースのアプリとして用意されている。古典的な統計モデル、および機械学習モデルによって構築されたC-Scoreは、UKバイオバンクに登録された42万人を超える研究コホートでの検証研究が併せて行われた。ここでは、ある時点後10年以内での全死亡リスクを有意に予測しており、C-Scoreの10%減少に伴って、死亡リスクが相対的に31%増加することなどが確認されている。

研究チームは「スマートフォンで適宜C-Scoreを確認できることは、個別の健康リスク予測に資する可能性がある」ことを指摘する。今後、個人健康要因のうち「何が大きく包括的な健康度を押し下げる原因となっているか」「何をどの程度改善することが必要か」までをリアルタイムに明示することができるようになれば、日常的な健康管理の拠り所として活用されていく可能性も十分にあるだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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