精神疾患治療において通院継続の失敗、服薬の自己中断などは増悪と再発の主要なリスクとして知られる。このようなアドヒアランス不良を早期に自動検出し、積極的なフォローアップを実現するAIシステムの有効性が検証された。
オーストラリア・アデレードに所在するフリンダース大学などの研究チームは、メディケアデータを利用し、精神疾患患者のアドヒアランスリスクをモニタリングするAIツールを開発している。Australian & New Zealand Journal of Psychiatryから公表された研究論文によると、同チームはAI2 (Actionable Intime Insights)と呼ばれるこのツールの臨床的有効性を、304名の精神疾患患者において検証した。結果、AIは142名(46.7%)にアドヒアランス不良のリスクがあるとしてフラグを立て、臨床医によるレビューを経て実際に31名に対して介入が行われた。また、フラグが立てられた患者は年齢が高く、過去の精神疾患治療エピソードが多いという傾向を持ち、高機能病院から一般開業医に移された患者においてより多くのアラートと実際の介入を受けていた。
著者らは「アドヒアランス不良のデジタルモニタリングは可能であり、地域のメンタルヘルスケアおよびプライマリケアの臨床ワークフローに統合できる」とした上で、このテクノロジーがケアプランへの非遵守行動を早期に検出し、疾患増悪や再発の予防に貢献する可能性が高い点を強調する。
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