高齢者ケアにおける疼痛評価は容易ではない。疼痛は本質的に主観的であるが故に定量化が困難で、現代においても臨床現場ではその評価を「観察」と「申告」に基づいている。ただし、高齢者は認知症を含む種々の背景疾患を持つため、感情の発露、意思の表明が時として不十分となる。このことは疼痛評価と管理を難しくしており、不適切な疼痛治療は生活の質低下に直結する。
表情分析によって疼痛を客観評価するAIアプリ開発を行うPainChekはこのほど、「高齢者ケアにおける現代の疼痛評価」と題した詳細なレポートを公開した。ここでは、既存のゴールドスタンダードと言える疼痛管理を「テクノロジーを利用することでどうサポートできるか」に焦点を当てた解説がなされており、疼痛評価をいつどのように実施するかのガイダンスも併せて提供する。PainChekアプリは、臨床スタッフが検出できない「微妙な表情変化」を評価することで、鋭敏かつ正確な疼痛評価を実現するとし、精度95%・感度96%・特異度91%を謳う。
5月にはPainChekアプリのアップグレードが発表されており、豪州・英国で実臨床導入の拡大を続ける同アプリは、ユニバーサル疼痛評価ソリューションとしての立ち位置を確かなものにしようとしている。
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