一般的に新薬の効果および安全性を評価するには、「治験薬の投与を受ける群」と「標準治療を受ける群」を用意し、これを前向きに観察することで検証を行う。ただし、希少疾患などそもそも対象となる患者数が少ない場合や、倫理的問題を有するケースなどにおいて、対照群(コントロール)の確保は容易ではない。
米ニューヨークに本拠を置くMedidataは、ライフサイエンスにおけるITソリューションを提供するグローバル企業として知られるが、この対照群データを「合成」するという革新的技術を持っている。同社プラットフォームでは700万を超える匿名化患者データベースを用い、高度なマッチングアルゴリズムによって、臨床研究の目的に最適となる対照群を合成する。これは従来には非常に困難であった研究計画を実現するのみでなく、試験期間の短縮やコスト削減にも大きく資する。
Medidataが30日明らかにしたところによると、Synthetic Control Arm(SCA)と名付けられた同システムは、本年のAI Breakthrough Awardsにおいて「Best AI-based Solution for Healthcare」を受賞した。AI Breakthrough Awardsは、AIテクノロジーやイノベーターを表彰するために設立されたもので、今年のプログラムには2,200以上のノミネートがあったという。Medidataが提供する革新的プラットフォームとその技術は、これからの医学的エビデンス構築を支え、加速させる鍵となる可能性が高い。
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