高齢ドライバーの軽度認知機能障害(MCI)や認知症が運転に与える影響、運転免許制度との関係について議論が続いている(過去記事)。米コロンビア大学のグループは「車載記録装置からの運転データに基づき、機械学習モデルで高齢ドライバーのMCI/認知症を検出する研究」を行っている。
コロンビア大学のリリースでは、学術誌 Geriatricsに発表されている研究成果を紹介している。本研究は、65~79歳の現役ドライバーが参加した2,977名の調査プロジェクト「LongROAD(Longitudinal Research on Aging Drivers)」において、運転データから機械学習モデル(ランダムフォレスト)を構築したというもの。参加者のうちMCIの診断を持つ者が33名、認知症の診断を持つ者が31名含まれていた。年齢・性別・人種/民族・教育レベルなど基本的な属性データに運転データを含めると、MCI/認知症を予測するモデルの精度はF1スコア88%を達成している。また、属性データのみの場合で精度29%、運転データのみで精度66%となっていた。
単一変数として最も高い予測力を示したものは年齢であり、次いで、自宅から15マイル以内の運転割合、人種/民族、1回あたりの運転時間、減速度0.35G以上の強いブレーキの回数、であった。著者のひとりであるGuohua Li教授は「アルゴリズムの検証が進めば、高齢ドライバーのMCI/認知症の早期発見と管理のための、目立ち過ぎない新たなスクリーニングツールとなるだろう」と語っている。
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