染色体や遺伝子に変化を伴い出生する疾患群(ダウン症候群・ウィリアムズ症候群・ヌーナン症候群など)は顔の外観に特徴が現れる。遺伝学的スクリーニングへのアクセスが限られている低・中所得国でもそれらの診断が可能となるよう、小児の顔写真から機械学習ツールで疾患群をスクリーニングする研究が発表されている。
米Children’s National Hospitalを中心に行われた同研究は、学術誌 The Lancetに掲載されている。対象とした28カ国2,800人の小児には、128種の遺伝性疾患をもつ1,400人(ウィリアムズ症候群17%・ダウン症候群16%など)が含まれている。子どもたちの顔写真から深層学習モデルが構築され、結果として遺伝性疾患の検出精度は88%、感度90%、特異度86%が達成された。
遺伝子検査には多額のコストがかかるほか、低所得で医療資源が限られ孤立したコミュニティでは、早い段階で遺伝性疾患を発見するための専門家も不足する。研究グループは「各種遺伝性疾患の生存率には人種的・民族的な格差が存在しており、今回公表した技術によって遺伝学的スクリーニングという医療資源の民主化に向けた一歩としたい」とする。Children’s National Hospitalは医療機器メーカーMGeneRx社と同技術についてライセンス契約し、技術の強化を進めていく。
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