COVID-19の合併症や後遺症が話題となるなか、それが一部の患者だけに起きる原因は何か、という疑問が残されている。米ジョージア工科大学を中心とした研究グループは「タンパク質伝達経路とCOVID-19臨床症状の関連性を予測する」AIベースのツールを開発している。
21日付でNature Scientific Reports誌から公表された研究論文によると、MOATAI-VIR(Mode Of Action proteins & Targeted therapeutic discovery driven by Artificial Intelligence for VIRuses)と呼ばれるこのAIツールは、COVID-19の主要な臨床症状24種のリスクと、その背景にあるタンパク質伝達経路との関連性を予測する。後遺症として注目されている嗅覚や味覚の喪失、ブレインフォグといった症状の多くが「タンパク質伝達経路の誤作動や相互作用による」という仮説からアルゴリズムが構築されている。
MOATAI-VIRの手法は、呼吸不全など特定の合併症を引き起こすタンパク質に優先順位をつけ、治療薬との結合頻度が高いものを探索することなどを可能にする。ジョージア工科大学のリリースによると、研究の責任者であるJeffrey Skolnick教授は「この方法論は決して魔法ではない。意思決定プロセスがうまくいくのに必要なのはわずかな後押しである。もしそこで80%の確率と言われれば、それは十分に試す価値がある」としてツールの価値を語る。MOATAI-VIRツールの詳細は(https://sites.gatech.edu/cssb/moatai-vir/)も参照のこと。
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