カナダ・モントリオールに本拠を置くマギル大学の研究チームは、心臓や筋肉、声帯など”頻繁に動く組織”と融合して損傷を修復し、運動機能を回復させることのできる注射用ハイドロゲルを開発した。研究成果はAdvanced Science誌から公表されている。
本研究論文によると、独自開発によって得られたこのハイドロゲルは、細胞の成長・拡散・増殖に適していることが明らかにされており、動的な生体負荷を受けても細胞の生存率と機能を維持することができ、その構造は完全性を維持していたとする。著者らは「このハイドロゲルは細胞培養のための灌流マイクロフルイディクスや、声帯を模した灌流バイオリアクターに使用できる可能性が高いことが示された」と述べる。
これまで動的組織に十分に対応する注入素材は無かったため、研究成果と今後の展開には期待が大きい。研究チームは喉頭がん患者など、「声帯損傷を受けた人々の声を回復させるためのインプラント材」として使用されることに大いなる可能性を見込んでいる。
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