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SAIL – MIT研究者らによるデータ暗号化技術

大規模データセットの分析は医療AI構築の要となるが、アルゴリズムのトレーニングおよびテストにはデータアクセスに伴う種々の問題が生じる。医療機関は当然にして患者情報の機密性に主たる関心があるが、研究者にデータを共有する場合「真に必要なデータのみを利用しているか」、また「事後には適切にデータを削除しているか」を確認することは事実上困難である。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らは、「Secure AI Labs」(SAIL)と呼ばれる、暗号化されたデータセット上でAIアルゴリズムをトレーニング・実行させる技術を開発している。SAILプラットフォームを活用することで、医療機関はデータ共有のためにシステムからデータを外部に持ち出す必要がないため、データセットの使用方法とセキュリティを厳格に管理することができる。同時に研究者は、AIモデルや検索クエリの機密性を保持しつつ、スムーズなデータアクセスによって成果物を得ることができる。

MIT教授のManolis Kellis氏らによってSAILは法人化されており、既に種々の医療機関やライフサイエンス企業との提携を進めている。MITが報じたところによると「2023年には、全米トップ50の学術医療センターの約半数と連携したい」としている。SAILのアプローチにより、より多くの研究者が大規模なデータセットにアクセスできるようになる。MITのKellis研究室では、研究者コミュニティの関心をさらに高めるため、タンパク質機能や遺伝子発現などの領域におけるデータセットを利用し、研究者に結果を予測させるコンペティションを開催するなどの取り組みも始めている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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