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マインドフルネスと脳電流刺激が片頭痛を緩和する可能性

片頭痛は世界的に13〜18%の有病率と推算され、「痛みの悪循環」に悩まされる患者にとって深刻な課題となっている。薬物による予防・治療の限界も知られており、安全性が高い「非薬物療法」に対する期待も大きい。片頭痛への非薬物療法として、「マインドフルネス(瞑想法から派生した心理コントロール手法)」と「経頭蓋直流電流刺激(TDCS: Transcranial Direct-Current Stimulation)」を組み合わせた治療が研究されている。

Frontiers in Human Neuroscienceに発表された同研究では、ブラジル・パライバ連邦大学のチームによって、慢性的な片頭痛を持つ女性を対象に、12週間のマインドフルネスセッションと、週3回で4週間にわたる背外側前頭前野(DLPFC)へのTDCSが実施された。計30名に対する無作為化対照二重盲検試験の結果、治療群では注意力および日常生活動作能力の改善が観察され、その鎮痛効果が示唆された。

マインドフルネスは北米を中心に流行する一方で、日本ではまだ馴染みが浅く懐疑的にみられやすい領域でもある。実際、デジタルツールの普及を背景とした簡易的なマインドフルネスアプリなども含め、玉石混交の状態となっている。本研究のような小規模試験の積み重ねから、より質の高い学術領域となるのか、動向に注目していきたい。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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