片頭痛は世界的に13〜18%の有病率と推算され、「痛みの悪循環」に悩まされる患者にとって深刻な課題となっている。薬物による予防・治療の限界も知られており、安全性が高い「非薬物療法」に対する期待も大きい。片頭痛への非薬物療法として、「マインドフルネス(瞑想法から派生した心理コントロール手法)」と「経頭蓋直流電流刺激(TDCS: Transcranial Direct-Current Stimulation)」を組み合わせた治療が研究されている。
Frontiers in Human Neuroscienceに発表された同研究では、ブラジル・パライバ連邦大学のチームによって、慢性的な片頭痛を持つ女性を対象に、12週間のマインドフルネスセッションと、週3回で4週間にわたる背外側前頭前野(DLPFC)へのTDCSが実施された。計30名に対する無作為化対照二重盲検試験の結果、治療群では注意力および日常生活動作能力の改善が観察され、その鎮痛効果が示唆された。
マインドフルネスは北米を中心に流行する一方で、日本ではまだ馴染みが浅く懐疑的にみられやすい領域でもある。実際、デジタルツールの普及を背景とした簡易的なマインドフルネスアプリなども含め、玉石混交の状態となっている。本研究のような小規模試験の積み重ねから、より質の高い学術領域となるのか、動向に注目していきたい。
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