米テネシー州ナッシュビルに本拠を置くヴァンダービルト大学はこのほど、脳領域を専門とするバイオテクノロジー企業であるNeumora Therapeuticsとのパートナーシップ締結を明らかにした。統合失調症治療に関し、ムスカリン(M4)受容体陽性アロステリックモジュレータ(PAM)を介した新薬創出に主眼を置く。
ヴァンダービルト大学が明らかにしたところによると、推進される共同研究は「データサイエンスと神経科学における医薬品開発能力を統合するもの」としており、現在進行中の前臨床試験を支援しつつ、本格的な医薬品開発に結びつける狙いがある。Neumora社の共同創業者であり会長兼CEOであるPaul L. Berns氏は、「ムスカリン受容体システムを標的とすることは、統合失調症治療において臨床的に十分検証されたアプローチであり、ヴァンダービルト大学ウォーレンセンターが発見したM4受容体陽性アロステリックモジュレータプログラムは、この疾患に対する膨大なアンメットニーズに対応するクラス最高の可能性を秘めている」と述べる。
近年、ムスカリン受容体上のアロステリック結合部位は、統合失調症やアルツハイマー病の創薬ターゲットとして大きな注目を受けている。ムスカリン受容体はGTP結合タンパク質に共役した代謝型受容体であり、M4はこのサブタイプの1つとなる。完全にサブタイプ特異的なリガンド開発は困難とされてきたが、AIおよびデータサイエンスアプローチによってこの限界を打破しようとする動きが加速している。
関連記事: