米ペンシルベニア大学などの研究チームは、「軽度~中等度の飲酒であっても脳への影響は避けられない」ことを成人ビッグデータに基づく解析により明らかにした。
Nature Communicationsからこのほど公開されたチームの研究論文によると、英国バイオバンクに登録のある36,000人以上の成人における脳MRIを調査し、脳のあらゆる部位における白質と灰白質の体積を算出した。飲酒量と脳容積に交絡し得る各種変数(年齢や身長、性別、喫煙、社会経済的因子、遺伝情報など)を調整した上でも、1日平均1単位未満といった比較的少量の飲酒であっても脳容積の減少がみられることを明らかにした。大量飲酒に伴う健康影響は頑健な関連が指摘されてきたが、少量飲酒に伴う脳の器質的障害を示唆した研究は新しく、1日1~2杯の継続的な飲酒によってさえ、脳容積の縮小を介した認知障害リスクを増大させる可能性が指摘されている。
同論文の責任著者であるGideon Nave教授は「これほど大きなサンプル数があれば、1日にビール半量を飲む場合と1本を飲む場合といった、両群の微細な差異も見つけ出すことができる」と述べ、英国バイオバンクデータの有用性を強調する。英国バイオバンクは2006年に開始された長期大規模研究で、50万人の中高年を追跡する世界最大のバイオバンクとして知られている。
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