クリーブランドクリニックとPathAIの研究パートナーシップ

米国で最も有名なヘルスケアプロバイダーの1つであるクリーブランドクリニックはこのほど、次世代病理診断を支える「デジタル病理学インフラ」の構築を見据え、PathAIとの共同研究を開始する。

米マサチューセッツ州ボストンを拠点とするPathAIは、AIを活用した病理診断サービスや研究ツールを提供している。10日、同社が明らかにしたところによると、このコラボレーションではまず、マルチモーダルデータセットを用いた関連研究の促進、および臨床情報の助けを借りた既存AIアルゴリズムの改善などに取り組むという。PathAIのCEOであるAndy Beck医師は「このエキサイティングなコラボレーションは、全ての人々に精密な病理診断を提供するというPathAIの使命を加速させる。クリーブランドクリニックは、多様な疾患領域に渡る患者ケアの変革に取り組む一流の臨床医、教育者、研究者を擁する理想的なパートナーと言える」と述べる。

特にカッティングエッジを志向する米国ヘルスケアプロバイダーにおいては、特定の医療サービスを強化することを目的として、スタートアップを含む民間企業と「AIに焦点を当てたパートナーシップ」を締結することは一般的な戦略となりつつある。なお、クリーブランドクリニックは本協業の一環として、PathAIの株式保有者となることも併せて明らかにされている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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