不妊治療のひとつ「体外受精」は、1サイクルあたりの成功率が30%程度であり、より安定した高い成功率を得るためには「受精胚の選択」が技術的課題となっている。イスラエルの「Fairtility社」は、より良い条件の受精胚を選別するAIアルゴリズムの開発を行い、体外受精の成功率向上を目指す。
Fairtility社の最新の研究成果は、Scientific Reportsに報告されている。同研究のAIアルゴリズムは、一定時間ごとに受精胚の画像を撮影して状態を評価する「タイムラプスインキュベーション(TLI)」に適用され、受精後5日間の胚の発達に焦点を当てている。同アルゴリズムは受精胚の画像評価を自動化することで、従来の手動評価による精度のばらつきを低減する。本研究での検証結果として、FairtilityのAIアルゴリズムは、人間の手動評価だけではなく、FDA承認済みの既存システムの性能も上回ったことが示されている。
Fairtility社の発表内で、同社のチーフ・メディカル・オフィサーのAssaf Ben Meir氏は「親となる人たちは、体外受精のプロセスで、多大な経済的負担はもとより、精神的・肉体的に大きな負担を抱えている。現在の受精胚選択は、観察者間のばらつきの影響を受けやすく、本質的には暗闇の中の手探り状態であった。不妊治療のコミュニティは、より良い解決策を強く求めている」と語った。
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